2013年1月27日日曜日

『プロチチ 第1巻/第2巻』

講談社のイブニングに連載中の父親視点の育児マンガ。

主人公はアスペルガー症候群の旦那とマンガ編集者の妻。
この作品は連載初回の第一話をイブニングで見かけ、珍しい「父親子育てもの」ということで時々チェックしていました。
で、妻に先日「プロチチって知ってる?」と聞かれ、「知ってる!好きな漫画だよ。」と答えたのですが、恥ずかしいことにその時まで“父親がアスペルガー症候群”という要素をすっかり頭から抜いていました。


実は最近訳あって、アスペルガー症候群等の傾向を調べる「自閉症スペクトラム指数」を導き出す自己診断スクリプトをやってみたのですが、結果は、ギリギリですが閾値を越えており(32点が閾値で私は33点)、私自身アスペルガー症候群の傾向を持つことがわかりました。
この漫画を好きになった理由はそこもあるのかもしれないとちょっと考えてます。(また、アスペルガー症候群という要素を忘れていたのも、無意識に避けていたためかもしれません。)
今回、妻が単行本を買ってくれたので、改めてじっくりと読んでみました。

私自身は、描かれている旦那さんほど重症ではなく(と、自分で勝手に思い込んでるだけのような気もしてますが…)そうした、症状に対する描写はピンと来ない部分もあるのですが、第1巻で言えば3話目や4話目のラスト付近は悲しいほどよくわかるし、9話目の中盤はトラウマを思い出しそうだし、第2巻の12話は切実によくわかるし、16話のラスト付近の店長みたいな人が居てくれたらどんなにありがたいかと思うし、保育所遍歴が下の子の時とちょっと似通ってて遠い目になったりしました。
で、読み返す内に、自分が今まで無意識に記憶の奥にしまい込んでいたような記憶がポツリポツリ思い浮かんできて、なんだか切なくなってきました。

アスペルガー症候群は脳の障害であり、風邪が治るようにけろっと治るようなものではありません。どうやって社会に適応していくか?という問題は一生の間ずっと続きます。
アスペルガー症候群だとわかったからと言って、根本解決の方法はないのです。

でも、マンガの中では、そうしたことも描きつつも、前向きにコミカルに物語が、紡がれていきます。
通りすがりのおばさんにプロチチとしてのアイデンティティを気づかせてもらうシーンや、バイト先の店長さんから魔法の言葉を教わるシーンに、カタルシスを感じつつも、ここまで幸せなアスペルガー症候群の患者さんが一体どれだけいるのだろうと言うことにも思いを馳せてしまい、どうにも切ない複雑な気持ちになります。
でも、それでも、この物語は素敵な物語でだと思います。
現実はこうはいかないけれど、そうわかっていても、それでもとても素敵な物語だと思います。

そして、アスペルガー症候群云々を抜いても、「父親の子育て」は今極めてリアルタイムな問題だと思いますし、それに取り組む姿を複数の視点を交えながら書ききっている点はとても素敵で、それだけでも読む価値はあると思います。

続きが楽しみな作品です。

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