2012年4月7日土曜日

『地球幼年期の終わり』アーサー・C・クラーク著 読了

確か高校生の頃に読んだのだが、だいぶテキトーな読み方しかしてなかったことを、読み直してまず実感。
そして、高校生の頃の私では面白く感じられなかったろうなと言うのが、第一の感想。

今となっては類似のクローン作品の枚挙に事欠かないSFの古典的名作の一つで、一言で言えば終末物語。
人類を母体に新しい人類?が生まれ、その人類の旅立ちと共に地球は滅びるという絶望感は、たぶん高校時代の私には受け入れ難い展開だったろう。
子供が生まれ子育てをしている今の視点でもなかなか悲しい話だが、新しい生命を生み出し育て送り出して別れるということの意味と思いは理解できる。そして、この物語は、新人類や若者の話ではなく、それらの土台となる人々の物語として見た方が遥かに心に突き刺さる。

余談だが、ガンダムおよびそのクローン作品ではいつまで経ってもニュータイプは超能力者の域を出ないのは、その先に進めばこういう世界を描かなければならないからなんだろうなと思う。
そこを着き詰めたらイデオンにしかならない。

ともあれ、面白かった。
ちなみに今回読んだのは1987年に出た改訂版を底本にした光文社のもの。第一章の東西冷戦的な表現がなくなったそうだ。
そのせいだろうか、枝葉は当然古い感じの部分もあるが、全体的にはスマートで現代的な雰囲気で読み易い。
読むならこの版がオススメ。