2008年3月23日日曜日

ライヴ文学館 小説を聴く『死神の精度』

『死神の精度』(伊坂幸太郎:著 文春文庫)を題材にしたリーディング公演が、仙台市の市民活動サポートセンターで開催された。
主催は仙台市市民文化事業団。
仙台市文学館の外部公演という位置付け。

出演者はDateFMの石垣のり子さんと樋渡宏嗣さん。
樋渡さんはsendai座や劇都仙台2007『ミチユキ→キサラギ』などに出演した、実力派の役者さん。
石垣さんはDateFMで長く「e-Planets」に出演し、今は平日の13:30から16:25の「J-SIDE STATION」に出演しているパーソナリティさん。

二人のリーディングは、安定性が大変高く安心して楽しめるものだった。
役、読み手を行ったりきたりしつつ、物語を紡ぐ。

おもしれえ。

特に、三人称と一人称が混在してシンクロするシーンは面白い!!
リーディングはまだまだ奥があるなと思った。

石垣さんは老女から暗い若い女性まで行ったり来たりし、その隙間に幼女のような表情が挟まる。
パーソナリティとして安定感のある人だと思っていたが、演者(役者)としてもとても魅力的な人だと思った。
樋渡さんと組み合わせると、特にナレーション(読み手)をしている時は若干弱い気がしてしまった。(ちょっと不公平とも思うが…)
樋渡さんは、イイ。
響く太い声は届く。
文章で語られているほど冷たくないと感じたのは人柄だ。
(もっと機械的の方がゾクゾク来るかも。)

ともあれ、二人の(特に石垣さんは)また舞台に立っている姿を観たいと感じた。
それ以上に、舞台に立ちたいと思った。
舞台に立ちたいと思った…のは悔しいからだ。

悔しがっても仕様が無いのだが。

2008年3月22日土曜日

変わるもの変わらぬもの

晴れ 春の陽気。

所用で広瀬通に来た。
株主優待券があったので、スタバに行こうとしたら、その途中で、仙台の立食い界では老舗のK…というそば屋があった。

時間は昼時。

久しぶりに鰹出汁が効いたかけそばが食いたくなり、暖簾をくぐった。


その期待は敢え無く裏切られた。

入口に券売機。(すでにK…ではない!)
厨房にはいかにもなユニフォームを着たおばさん。
特徴的だった子供の頭程の大きさの布に包まれた鰹節の浮いた巨大な寸胴も、常にアツアツに沸騰していた麺茹で用の鍋も姿を消し、効率重視のユニット式そば茹で機が我が物顔で場所を占める。

できて来た物は、カップのそばの方が美味いような代物。
出汁は効いておらず、味気無く、そばは固くてボロボロ。

このそばにK…の名を継がせたのかと思うと腹が立ってならない。


K…は立食い界の老舗だったからこそ、「所詮立食い」と多寡を括ってしまったのだろう。
自分達のアドバンテージが圧倒的な味の差にあると分からず、効率重視の戦略を取ってしまった。
今はいい。
だが来年は?


K…には美味い立食いの原点に立ち返って欲しいと、願わずにいられない。
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2008年3月11日火曜日

「無料より優れたもの」(日本語訳)を読んだ

無料より優れたもの

Kevin Kelly による "Better Than Free" の日本語訳。
訳者は堺屋七左衛門氏。
多数の競合施設によって数的にも内容的にも飽和状態にある宿泊施設業界においても、これは言える事だと思いつつ読んだ。

宿泊施設において、施設やサービス、プランなどは、いずれもコピーを繰り返されている。
デジタルではないから完全なコピーにはなりえないが、インターネット上で情報を集める段階で、つまり情報化された段階では、オリジナルの宿もコピーの宿も、同じ基準で評価されているのが現状だ。
他に無いサービスを始めても、好評を博せば数ヶ月から数年でコピーされる。

では、オリジナルのアイディアを生み出す作業、それに向けた努力は無駄なのか?
無駄にしないためにはどうしたらよいのか?

このテキストはその答えへの参考になりうる資料だと思う。

ちなみにこの文章を知ったのはYAMDAS現更新履歴ケヴィン・ケリーの"Better Than Free"の日本語訳が公開されている にて。

2008年3月8日土曜日

フリントロックからボルトアクションまでの歴史

銃器の歴史の中で“近代への変化”というべき時代がこの辺りだと思うのだが、長い間この辺の流れが謎だった。

詳しい年は省略。
動きが出てきたのは1850~1870年ごろ。アメリカの南北戦争が銃器の実験場になった。

1822年アメリカのジョシュア・ショウがパーカッションロック式を発明。以後、フリントロック式からより信頼性が高いパーカッションロック式に移行が進んでいくが、パーカッションロック式の進化は、雷管の進化と関連している。

最初の頃には子供のおもちゃや運動会のスターターで使うような、紙テープで火薬をはさんだものを雷管代わりにした銃が作られたりもしたが信頼性はきわめて低かった。

後、金属製の容器に雷酸水銀を詰めた雷管が使われるようになり、パーカッションロック式が発展した。

パーカッションのつけ場所として、はじめは伝統的な流れで銃の横側に付けられたが、後真後ろに付けられるようになった。やがて、雷管を仕込んだ薬莢が使われるようになり、その雷管をピンで突き破る形が取られるようになり、それがボルトアクションに進化していく。

初期の元込め銃は、銃の後ろ部分を跳ね上げて薬莢を込める形だった。
今でも散弾銃などでは見受けられるシステムである。
劇的に変えたのがモーゼル社の発明したボルトアクション。(ちなみにモーゼルはこれに似た機構を持つピストルも作っている。)
これがその後、自動小銃が登場するまで小銃のスタンダードとなる。

薬莢について

初めは一回分の火薬と弾を一つにまとめた容器が薬莢代わりとして使われていた。

これをコンパクトにした紙製薬莢が使われるようになった。

初期の元込め銃でも紙製薬莢が使われたが、しけり易かった為、後真ちゅう製の薬莢に移行した。

ライフルは1600年代にはすでにその有効性が語られたが、作業の手間とコスト、装填の時間的ロス、メンテナンス性などの問題から本格的に使われるまで2世紀近くかかった。

その過程では様々な実験により「ライフリングを彫らない方が良く当たる」ことを実証するための実験が行われたりもした。

(ある聖職者が件の実証のため、ライフリングを彫らない方に銅の弾を、彫った方に銀の弾を込めて射撃実験をした。 10発撃って、彫らない方は9発当たったが、彫った方は1発しか当たらなかったとして、ライフリングは役に立たないと主張したそうだ。が、これは銀が柔らかいための結果だった。)

2008年3月6日木曜日

『L change the WorLd』

晴れ 風は冷たい。

『L change the WorLd』※公式サイトはめちゃくちゃ重いので回線が細い方は注意!!

movix仙台で見た。
たまたまメンズデーで千円だった。

『DEATH NOTE デスノート』の外伝的な作品。
デスノートにLが自分の名前を記してから息を引き取るまでの23日間の物語。

まだ、上映中なので詳細は避けるが、面白かった。

『DEATH NOTE』のような頭脳戦を期待すると肩透かしを食うが、Lというキャラクターが好きな人なら、絶対楽しめるロードムービーだと思う。
随所に頬をポッと赤らめてしまうような青いセリフが飛び交うシーンがあるのはご愛嬌。

ところで、Lは究極の理想のオタクだと思う。
『DEATH NOTE』のテーマは「オタクが世界を救う」ということだったのかも。

オタクと呼ばれる人間を社会の不適合者と見る人は今もいるが、そういう人々が唸るほどの知能と行動力を持ち、いくら食っても太らない理想の肉体と、周囲の奇異を見る目に屈しない強靭な精神力を兼ね備えたその存在は、ある種の偏りを持つ人間にとって、「そうあれかし」と願わずに(…願わないまでも、ちょっと夢想せずに)いられない姿だろう。

そんな人間に本当に必要なものは何か?

オタクが搾取される存在でなく、世界を変える、

否、

世界を救う存在になるには?

その答えが見え隠れする映画だった。