2012年2月29日水曜日

日本人の死生観

日本人の死生観は一言で言えば「死んでも生きている」で、これは「モノだって人間だ」ということであり、遡れば八百万神、九十九神、間近くは萌え文化に通ずるものだ。
そして、死んでも死なないから、死者への弔いが重要であり(先祖供養、タタリ神、魂鎮め)、また、死ぬことに積極的な意味が付加される(切腹、心中)。

仏教の諸行無常は死の情念強化に活かされ、輪廻からの解脱は死んでも死なないイメージに融合して「死ねば皆仏」となり、葬式仏教として換骨奪胎されて受け入れられた。

だが、なくなるものもある。
それは、生活圏の外から来るモノだ。

外から来るものは内に福をもたらすが人ではなく、人ではないからいつか必ずこなたから彼方へ帰っていく。
多くの物語が外から来たものによって恵みを受け、また外へ帰っていくえびすがみを描いている。

こうした考え方の根っこは、だからダメというのではない。
日本人のそうした考え方は今でも脈々と現代人の中に残っており、そうした考え方が、理性を超えた部分の判断基準となっていることが多い事は、把握しておくべきことだろう。

2012年2月20日月曜日

映画「スマイル 〜聖夜の奇跡〜」

妻が借りてきたDVDを家族で観た。
役者の陣内孝則初監督作品。
(そして私はすっかり陣内智則と勘違いしてトンチンカンな感想を投稿し、妻に教えてもらうまで気が付か なかった。(^_^;)
なのでこれは修正版です。)

少年アイスホッケーチームを舞台に展開する少林サッカーで、マクドナルドのイメージアップ映画で、悪く 言えばご都合主義的展開連続のロマンティックが止まらない映画である。

誤解の無いように。
だからダメというのではなく、それがとてもいい感じで、爽快で愉快で心温まりほろ苦いワクワクする映画 だった。
演技が出来る子にアイスホッケーをやらせるのではなく、アイスホッケーの出来る子に演技をやらせたそうだが、この世界観の中では、演技の違和感は全く無い 。 むしろ、アイスホッケーのシーンのリアリティやダイナミックさにその辺が生きていて、カメラワークの巧 みさだけで作った「それっぽいシーン」を超えるものがありそれだけでも一見の価値アリ。

全編これくさいシーンとご都合主義のオンパレードな ので「映画はリアルな人生ドラマでなくてはならない !」という層にはオススメしないが、娯楽映画としての完成度は高いと思った。

要は徹底(こだわり?)なのだと思う。くさいシーンくさい展開で徹底すればそれが世界観を作り魅力となる。
それに成功している映画の一つだと思う。

気楽に見れる映画が見たい時にはオススメ。

(逆に言えば、ご都合主義やくさいシーンが問題なのは、多くの作品が「なんとなく」そうしたシーンや展開を入れているためだと思う。それが世界観を、物語の厚さを薄め、見てるほうが素に戻ってしまうのだ。 )

(マクドナルドがスポンサーであることは、前半はサブリミナル程度、後半は結構大々的に出て来る。 ヒロインが難病と戦う辺りは難病の子供を抱える家族をサ ポートするドナルド・マクドナルド・ハウスを想像さ せる…というのは穿ち過ぎか。 でもそれも、良い感じに入れ込んであり、ここまで徹底されるとむしろ心地よい。)

(それとコーチ役の森山未來が時々やっていた両手を グイッと広げるポーズ、見てる時は思い出せなかったのだが、陣内孝則監督作品と聞いて思い出した。
「あいしあってるかい」だ。
つまり、あれは監督自身なんだろうな。)

(あまり聖夜という気がしなかったのは残念)