2013年1月18日金曜日

『銀の匙 - Silver Spoon - 第6巻』

ローソンで見かけて衝動買い。大好きなシリーズです。

毎回けっこう読みごたえあるのですが、今回はここ数巻の承と転に当たる感じで、なかなかゾクゾクするシーンが多くて素敵です。
もちろん、ゾクゾクと言っても怖いという意味ではなく、心が揺さぶられて楽しいというシーンを見ると背中がゾクゾクするので、そうしたシーンだということです。

このシリーズ通して素敵だなあと思うのは「努力の結果は必ずしも出ないけど、無駄なことはなにもない」という思想というか想いが根底に流れている様に思うことです。

主人公の八軒は、力もあるけど欠点もあって、色々なトラウマを抱えつつ新しい発見を大切にしながら学生生活に取り組んでます。
トラウマを描ける人は多いけど、欠点と長所、トラウマと成長、固くなと柔らかさの共存を描ける人は稀有です。
主人公だけでなく、他の登場人物、その土地、社会システムなど含めて描ける人となると相当少ないと思います。
(ヒットした漫画家さんでもそうした描き方をしている人は少ないのでは…というか、むしろパターン化、一般化した方がわかりやすいし単純に感情移入もしやすいから、むしろベストセラーにはなりやすいのではとも思います。)

荒川先生の作品は『鋼の錬金術師』でもそうでしたが、そうした相反するものを一方を捨てて分かりやすくするのではなく、あえて共存させながら語っていきます。
ここが好き!

そして、少年の苦悩と成長をきちんと描けるのは、女性ならではなのかも…とも思います。
男の作家の場合、男を描けても少年を描ける人は少ない様に思います。
過渡的存在を描くのには元々力がいるとは思いますが。それプラス他人の目が必要なんだろうと思います。(同じ理由で、幻想的な女性は男にしか描けない様に思います)

今回の巻は承と転と書きましたが、次巻は転からある段階の決に向かいそうな雰囲気(そしてそれが新しい起と承になりそうな気配)です。

ああ!続刊が早く読みたい!!

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