2012年3月19日月曜日

「フィッシュストーリー」伊坂幸太郎著

文庫版『フィッシュストーリー』(新潮文庫)の中の一遍。
久々にもろ好みの作品に出会えた気分。

伊坂幸太郎の作品にはどことなくカートボネガットの作風を感じるのだが、その真骨頂と言う感じ。
短い話が絡み合い、本人たちが意識しないまま、ある運命の大きな流れを構築するという構造。
他の作品では、談判破裂して暴力の出番となることがやや多い様に思うが、この作品はその無理矢理黙らせる感がほとんど無く、ふわふわとたんたんと物語が紡がれていく。こういうの好きだ。

そしてそれを英語でほら話を表す「フィッシュストーリー」と名付ける感覚もいい。
確かにほら話で、ほら話ゆえのカタルシスがある。

リアルであることが絶対ではない、正しいわけでもない。
リアルでないことを開き直りながら、因果をめぐる冒険をはにかみながらふわふわと語る、こういうお話が、伊坂さんの真骨頂じゃないかと思う。

そして、伊坂幸太郎にあって村上春樹に無いのは、この明るいふわふわ感だとも思う。

2012年2月29日水曜日

日本人の死生観

日本人の死生観は一言で言えば「死んでも生きている」で、これは「モノだって人間だ」ということであり、遡れば八百万神、九十九神、間近くは萌え文化に通ずるものだ。
そして、死んでも死なないから、死者への弔いが重要であり(先祖供養、タタリ神、魂鎮め)、また、死ぬことに積極的な意味が付加される(切腹、心中)。

仏教の諸行無常は死の情念強化に活かされ、輪廻からの解脱は死んでも死なないイメージに融合して「死ねば皆仏」となり、葬式仏教として換骨奪胎されて受け入れられた。

だが、なくなるものもある。
それは、生活圏の外から来るモノだ。

外から来るものは内に福をもたらすが人ではなく、人ではないからいつか必ずこなたから彼方へ帰っていく。
多くの物語が外から来たものによって恵みを受け、また外へ帰っていくえびすがみを描いている。

こうした考え方の根っこは、だからダメというのではない。
日本人のそうした考え方は今でも脈々と現代人の中に残っており、そうした考え方が、理性を超えた部分の判断基準となっていることが多い事は、把握しておくべきことだろう。

2012年2月20日月曜日

映画「スマイル 〜聖夜の奇跡〜」

妻が借りてきたDVDを家族で観た。
役者の陣内孝則初監督作品。
(そして私はすっかり陣内智則と勘違いしてトンチンカンな感想を投稿し、妻に教えてもらうまで気が付か なかった。(^_^;)
なのでこれは修正版です。)

少年アイスホッケーチームを舞台に展開する少林サッカーで、マクドナルドのイメージアップ映画で、悪く 言えばご都合主義的展開連続のロマンティックが止まらない映画である。

誤解の無いように。
だからダメというのではなく、それがとてもいい感じで、爽快で愉快で心温まりほろ苦いワクワクする映画 だった。
演技が出来る子にアイスホッケーをやらせるのではなく、アイスホッケーの出来る子に演技をやらせたそうだが、この世界観の中では、演技の違和感は全く無い 。 むしろ、アイスホッケーのシーンのリアリティやダイナミックさにその辺が生きていて、カメラワークの巧 みさだけで作った「それっぽいシーン」を超えるものがありそれだけでも一見の価値アリ。

全編これくさいシーンとご都合主義のオンパレードな ので「映画はリアルな人生ドラマでなくてはならない !」という層にはオススメしないが、娯楽映画としての完成度は高いと思った。

要は徹底(こだわり?)なのだと思う。くさいシーンくさい展開で徹底すればそれが世界観を作り魅力となる。
それに成功している映画の一つだと思う。

気楽に見れる映画が見たい時にはオススメ。

(逆に言えば、ご都合主義やくさいシーンが問題なのは、多くの作品が「なんとなく」そうしたシーンや展開を入れているためだと思う。それが世界観を、物語の厚さを薄め、見てるほうが素に戻ってしまうのだ。 )

(マクドナルドがスポンサーであることは、前半はサブリミナル程度、後半は結構大々的に出て来る。 ヒロインが難病と戦う辺りは難病の子供を抱える家族をサ ポートするドナルド・マクドナルド・ハウスを想像さ せる…というのは穿ち過ぎか。 でもそれも、良い感じに入れ込んであり、ここまで徹底されるとむしろ心地よい。)

(それとコーチ役の森山未來が時々やっていた両手を グイッと広げるポーズ、見てる時は思い出せなかったのだが、陣内孝則監督作品と聞いて思い出した。
「あいしあってるかい」だ。
つまり、あれは監督自身なんだろうな。)

(あまり聖夜という気がしなかったのは残念)

2011年12月22日木曜日

コストコに行ってみた

妻と息子弐と一緒に、コストコに行ってきた。
一言で言って、海外(アメリカ?)のスーパーマーケットに行った気分。
そう言う意味で勉強になったし楽しかった。
平日なので人が少なかった。広大な敷地をゆっくり堪能。

買ってきた冷凍野菜、フルーツを小分けにして冷蔵庫へ。
ジップロック大活躍。

冷凍いちごをスライサーを使って牛乳とミックスしていちごシャーベットを作ったり、備蓄してあった野菜と入りきれなかった冷凍野菜を使ってカレーを作成。
カレーはほとんど外れることが無いから素敵だ。
食うのは明日。

もう寝よう。

2011年11月7日月曜日

『数学ガール』読了

何かの雑誌にこの本のコミカライズが載っていた。そちらはあんまり食指が動かなかったのだが、この本読んだらはまった。

面白い。

数学を改めて勉強したくなった。


物語を一言で言えば…お宅の夢?
失礼な表現かもだけど。
でも、そこに数学が入ってくることでバランスになっている感じはある。

数学はパズルで、知的なゲームで、頭の冒険だけど、人の織り成す物語りとは正直相性が悪い。
人の物語りは感覚的で個別解釈の余地がある。数学はルールがあるため普遍的で個別解釈の余地は無い。

が、そのルールを自由自在に使えればある数式が千変万化するところに数学のロマンやダイナミズムがある一方で、物語りはあるルールの崩壊と再構築にダイナミズムが生まれることが多い。
この本の中に登場する二人の数学ガールと主人公の関係は、往年のラブコメをさらに薄めた位の物語性しか正直感じなかったが、お陰で数学のダイナミズムを感じとり楽しむことができた。

(理解できてたかで言えば半分も出来てないが)

(また、そうは言いつつ、ミルカさんとのシーンはドキドキしながら読んでいたのだが)

高校くらいの頃にこんな本に出会っていたら、私は理系に進んでいたろうと思う。
数式を解いた時に快感を感じる方にはおすすめです。

2011年11月5日土曜日

ベツ・バラーレ

生パスタが美味しい店として人気のお店。
珍しく妻と二人の時間があったので行ってみました。




開店は11時。到着はやや過ぎた位だったが四台ある駐車場はすでに三台。残り一台も目の前で取られてしまった。

すごい。

仕方なく近くのコインパーキングに停めて行きます。
ここは40分100円。比較的安いからまあいいかと。

店内は狭い。が、明るくてモダンでシンプルでおしゃれ。
すでに八割埋まっていた所で席に座る。
他の席は近所の若い奥さま方なのだろう。
ファミレスとかとは微妙に客層が違う気がする。男の気配がない。

メニューが運ばれてくる。
本日のランチパスタが6種類。
しかも、通常のパスタの他、幅広のフェットチーノが選べ、また、辛口指定もできる。
また、別腹のパフェが付いたコースなら7種のパフェから選べる。

すげえ。

妻はパフェセットでトマトソースのパスタ、私はランチセット(パンとスープ付き)で一日10食の文字に惹かれて牡蠣の入ったクリームパスタにする。
と、最初に運ばれてきたのがサラダ。
と、銀色の猫のフォークレスト。

こりゃステキ。

盗難もあるそうな、さもありなん。

店内には新聞・雑誌の類いはなく、女性ボーカルの軽やかな曲がかかってる。
手持ちぶさたにテーブルを見るとなにやら小冊子。
何ページかに渡って、開店の動機や店名の由来、使ってるパスタマシーンやフェットチーノ、辛口指定、美味しい食べ方のコツ、店でかける曲のこと、駐車場のことなどなど、店のこだわりや嬉しいポイントが書かれていた。

これがなにげにすごい。

なんというか、今時のマーケティングの教科書に出てきてもおかしくない素材。
これで料理も良ければ完璧だけど…と思っているとパスタが来た。



見た目はごく普通のパスタ。
フォークを入れて驚いたのはその固さ。

よく「パスタはアルデンテが一番美味しい」などと言います。
が、ただの堅茹で位に思って(ので、その辺は好みの問題でしょと思って)いました。

これは違う。
ぐっぐっとフォークに絡まりながらいわゆる腰があり、しかも堅茹でのカリコリ感は微塵もなくむしろもっちりとした食感。
今まで食べたことのあるパスタとは全く違う食べ物…と言うのは言い過ぎでしょうか。

生パスタだから?否、ここだからなのでしょうね。

クリームソースはやはり丁寧な作りで繊細で、後味に牡蠣の美味しい風味が残る感じ。
もちろん牡蠣そのものも絶品で表面を香ばしく揚げた中から旨味がフワッと口中に広がる。
とても衝撃的な美味しさでした。

妻が私を見て、「おとうちゃんを喜ばせるのは、案外簡単なんだねえ。」と笑っておりましたが、本当に美味しいものに出会うとついつい笑顔になってしまうのは万国共通なのではないでしょうか。
パスタセットにはドリンクが付きます。

私は食後に紅茶を頼みました。
妻のパフェと一緒に紅茶が来て何げに飲んだらアールグレイが使われてました。
私は好きなのですがフレバーティで癖があり「紅茶」とだけ書いてるような所では出た試しがなかったのです。

ああ、幸せ。
こんな時間を過ごさせてくれたお店に、妻に感謝です。

追伸
例のコインパーキング利用者には100円のキャッシュバックのサービスがありました。
お店独自のサービスのようです。
ちょっとのことですが、これも嬉しかったです。

2011年5月6日金曜日

『ブレイブ・ストーリー』読了

図書館で借りた宮部みゆき著『ブレイブ・ストーリー』上下巻をついさっき読み終わった。

少年を主人公にした行きて帰りし物語であり、自分探しの物語とまとめてしまうと極めて陳腐。
そんなまとめでは語り尽くせない、とても面白い、良い本だった。
とても丁寧。

こんな本にもっと若い時に出会えてたら!
と思うが、たぶん相当読後感は違ったろうと思う。たぶん亘の喜びや悲しみや苦しみの半分くらい理解できなかった、否、もっと軽いレベルでの理解になってたろうとは思う。
でも、それはそれで、その時には精一杯の理解であり、間違いではない。
というか、読む時期によって、感じ方は変わってくるだろうとは思うが、心を揺さぶるパワーは同じくらい感じられるのではないだろうか。
それは、良い本の条件の一つだと思う。

できれば息子に読ませたいなぁ。
今度、古本屋で探してみよう。