2014年10月3日金曜日

時雨沢流作家術読本? 『男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。』 時雨沢恵一:著

息子に勧められて少し読んだ『キノの旅』シリーズを手がける時雨沢恵一の最新作。
以前、ニコニコ連載小説で第一話を読んだことがあったのでずっと気になっていたのだけど、いつの間にか息子が1・2巻を買っていたので拝借して読んでみました。

以下、感想。



“これ、芝居に出来るなあ。”

場面が割と限られてて、基本二人の会話劇なので、場面の調整すれば芝居にしやすいお話。むしろアニメ化とか映画化は難しいだろうなあ。飽きさせないで見せるには芝居の方が合ってる気がする。

“作家業のマニュアルになる”

これ読めば、プロの作家の仕事の現場がよくわかる。本当に細かく説明されてるので私も作家になれる気がしてくるけど、それは幻想。でも、そんな幻想を起こさせるほどきちっと説明されている。

この本は時雨沢流作家術読本として読むのも楽しいと思う。

“実は薄々分かったけど、でも、良い”

あれがあれなことは途中のあれこれをあれすればなんとなくわかる。(フェアな推理小説並にきちん
と書かれてるから。)
でも、それでもそれがあれした後ももう一展開あって、展開は読めるんだけどそれでもカタルシスがあって面白くてそわそわする。
これもラノベの良さかもなあと思う。

“こういうの読むと物語書きたくなる”

そしてそれは一時の熱で終わることが多い。
まずは書くことなのだ。
(ただ、書いてる途中で現実に戻されるのが嫌なのよね。書き出したら書き上げるまで手を止めたくない。でも、そんなまとまった時間はない。そう思って躊躇してしまう。その内に熱が冷めてしまいタイミングを逃す。

蛇足だけど、これは発達障害の傾向がある私が、社会に適応するために身につけた処世術でもあるように思う。

“自分のやりたいことには価値がない”と考えれば、それに耽溺することはなくなる。
こだわりが少なくなれば、それだけで摩擦は経る。
でも、それが自信の喪失にもつながってる。私がこれまで、私の価値を周囲に対して売り込めなかったのは明らかにそのためだ。
発達障害の傾向があると、他者から自分の感覚について高評価をもらうことが少ない。むしろ低評価をもらうことがデフォルトで、上のやり方はそれを積極的にむしろ自罰的に受け入れるやり方だ。
そしてここで受けたダメージを回復する機会はまず無い。
もちろん障害の強さにもよるだろうけど、社会との適応を大事にしつつも、自分のやりたいこと自分が良いと思うことを少なくとも自分自身は認め大事にしなければ、やがてこの世で生きていく目的や価値を見失うことになる。そうなれば自殺や犯罪へはあと一歩だ。
社会に適応することは大事だけど、適応することが生きる目的でも価値でも無い。それは手段でしかない。

閑話休題。

ともあれ、大変興味深く面白かったです。

しかし、第3巻が出ているようですが、あそこからどうやって続けるつもりなのか。
大人気で続巻がどんどん続いたら本当に○○めプレイの話になっていくのか。

目が離せません。

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