2014年2月21日金曜日

たぶんこれ発達障害者向けかも… 『30歳の保健体育 恋のはじまり編』

「30歳位まで彼女を作ることが出来なかった、でも彼女がほしい男性」をメインターゲットにした恋の指南書的な本の、これはつきあうキッカケまでを扱ったものです。
息子にと買ったのですが、なんとなく読んでみました。

巷にあふれる“恋の指南書”と大きく違うのは、感覚による判断部分がほぼ無く、極めて理論的に具体的に書いてあることかと思います。

ここ重要。


人間関係の中でも異性とのそれは極めて不確定要素の多いもので、相手の気持ちを汲み取る力の乏しい発達障害の場合、その難しさはトリプルアクセルよりも難易度は高いと思います。

私の場合、中学の頃に読んだ渡辺淳一のエッセイと、大学の頃に詠んだ女性作家の書いたマンガ本(内田春菊とか安彦麻理絵とか)などで女性の気持ちについて予備知識を仕入れた気がしますが、それが裏目に出たことも多いように思います。

既存の情報を使って大まかな方向性をつかむのは良いのですが、結局最後は特定個人との特定状況での話であり絶対的な正解はないのです。
むしろ、飽きず弛まず怯まずに女の子に声をかける勇気と気力と忘れる力こそが、女性と上手くいく方法だと思うのですが、それはともかく。


この本の特徴を紹介するのにちょうどいいのはデートへの誘いを断られた場合について紹介しているシーン。

1回めのデートに誘って断られた場合、「大人の女性であれば大抵1回めのデートの誘いには乗る」という判断のもと、

・本当に予定が詰まっている
・デートする前の時点で生理的に受け付けない

の2パターンが断る理由として考えられるが、この時点でどちらかはわからないのでもう一度誘う。それでもダメならもう一度誘って、それでもダメなら現時点では脈が無く不可能と考え数ヶ月間をあけることを薦めています。その期間も3ヶ月程度が一般的とのこと。

これ、女性と普通に付き合える方から見たら非常にバカバカしい、あるいは非人間的な記述に感じられるかもしれませんが、ここまで具体的に書いてあると、発達障害の気がある人間としては大変安心できます。


この安心できるというのが発達障害の気を持つ場合結構重要で、安心できると、そこで初めて相手を見る余裕が出てきます。
先が読めない状況だと相手の一挙手一投足から相手の気持ちを汲み取るなんて技は出来ません。ただもうその場の状況を理解し判断することが精々です。
先の判断がある程度できれば、その分を相手の見ることに費やせます。そのことで関係構築が好転する…なんて場面もありえます。

もちろん、ベースにしているこの本の記述は常に正しい絶対的な答えではありませんから、奇跡的に付き合いが発展した場合、本に書いてあることと現実とはズレが大きくなっていくことが予想されますが、それでも放っておいたらそこまで進むことはありえません。
そういう意味では、十分読むだけの価値はあると思いました。


まあ、間に挟まっている漫画があまりにご都合主義なのは、そういうものと考えましょう。

最終的なポイントは、自分の考えと相手の考え、自分の生理と相手の生理を、それぞれ受け入れ大事にできるかなのだと思います。
男女の機微を語り出したらこの本一冊には絶対まとまりません。
というか世に出回っている恋愛の指南書の多くはそうした男女の機微を語るものが多いような気がします。
でも、そうしたものは普通に他の人と付き合いができる人が次の段階として必要なものであって、他の人とに付き合いもおぼつかない人間にはあまりに謎めいた言葉ばかりで役に立たないのです。


この本は、そういう意味で極めて役に立つような気がしました。

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