誕生日に、妻からずっと欲しかった『銃・病原菌・鉄』の上・下巻をもらった。
大変面白く読んだが、時間がかかった。
4月12日に上巻を読了。4月20日に下巻を読了。コロナによるステイホームにはうってつけだった。
一般に、人類の歴史は、狩猟採取→農耕牧畜→工業発展の流れで文明が発展したと考え、現在前者より後者のほうが「優れている」と考え勝ちだけど、それはそうなった側がそうでない側を滅ぼしたからそう思われてるだけで、実際は優劣を付けられるものではないのではないか?優劣つけられないとして、ではなぜ後者は前者を滅ぼせたのか?を、滅ぼされた側滅ぼされそうになった側の視点で紐解く本。
簡単にまとめれば、「優れた人々が劣等な人々を従え滅ぼした」のでなく「環境に恵まれた人々が恵まれなかった人々を従え滅ぼした」のではないかという実もフタもない結論を膨大な事例を積み上げ証明していく本。読んでいると、既存の歴史の端々に「正しいものが残る」的な視点が多く隠れている事がわかる。
それは、従えた側が、自分たちが優れていたから正しかったから従えることが出来たのだと考え、その視点で歴史を語ってきたからだ。支配者バイアスとでも言うか。その視点は私達が歴史以外の物事を見る時にも暗然と影響を与え見え方を歪めている。
そういう視点を疑い、歴史を科学として楽しむきっかけになる本だと思う。
上巻最後に病原菌の話がある。農耕牧畜を行う民は狩猟採集民より、食糧が多いため人口が多く、定住してることや家畜が身近のため不潔になりやすく、病原菌が蔓延しやすい=抗体をもつ人も生まれやすい。新大陸征服時、ヨーロッパ人が持ち込んだ病原菌は、彼らの武器より何倍も多くの原住民を殺してる。
今のコロナの状況と合わせて考えると、実に味わい深いものがある。
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