2016年3月28日月曜日

おとなが楽しむ現代の寓話 アニメ映画 「東京ゴッドファーザーズ」

「東京ゴッドファーザーズ」を見た。
正直、この作品にはちょっと偏見を持っていて、見るのを控えていたのだ。

今敏監督作品だし面白いに違いないと思いつつ「どーせハートウォームなちょっと良い話なんでしょ?けっ!」みたいな根拠のない反感を持っていた。
でまあ、見てみて思ったのは、とてもハートウォームな良い話だなぁと、それもすごく緻密に作られた感じで、組み上げられた超絶タワーのラストの怒濤のカタストロフみたいな感じを楽しめる作品だったと言うことだった。
(ハートウォームが悪いのではない。
低いレベルで組んだ物語を泣けるとか言って安易に持ち上げ、ハートウォームと言う言葉の価値を下げた歴代のハートウォームもどき共の責任だ。)

閑話休題。

現代の寓話、エンターテイメントとしてとてもすばらしいと思う。
現実だったら赤ちゃん大変だろうなと思うけど。

細かいところで気になったのは、盛り上がるようなシーンであるほど、キャラクタ達が三人揃いではなく分かれて登場してる場合が多かったように感じた点だ。
三人主役の物語の場合、ここという場面では三人一緒になることが多い。
ここという場面とは、つまり関係性の強さを表現するのにちょうど良い場面だからだが、この作品の場合、二人と一人に分かれて場面が推移することが多い。
これがなんとも尻の据わりが悪くムズムズするのだが、同時にとても生々しい。
(例えば水戸黄門で、最後の戦闘シーンに輔さんがいないとか御老公がいないとかいう感じだ。伝わらないか。)
その欠落感ゆえに場面が絡みあい次々に組み合わさって積み重なっていくところは、さすが今監督と言うべき。

大人が楽しめる物語だと思う。それもあめり説教臭く考えないで楽しんだ方がいい映画だと思う。

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