『アキレスと亀』を見終わった。なんとも哀しい悲しい話だ。夢を追う人間の悲劇。「夢を追う」事自体が幸せであることに気が付けない人の悲劇だろう。
最後のシーンは、男のロマンと言うべき御都合主義なシーンだ。無かったら本当に救いが無いが。
『アキレスと亀』は実に北野監督らしい作品だ。絶対的な悪人はおらず、同時に、真綿で首を閉めるような優しさに満ちている。
良い映画だが、苦い。夢を追うことを諦めた人間は、見ると死にたくなる。
表現の良し悪しなど紙一重で、楽しければそれで良いと思えるか思えないかの差だ。
他人(世界、評価、成功、名声)とのギャップを気にする人間は、「アキレスと亀」のジレンマに囚われ、逃げられなくなる。亀との差ではなく、走ること自体を楽しんでいたらそうはならない。かもしれない。理論家は理論に縛られる。
ところで、中年期の主人公とそれ以前の存在感とにギャップが有りすぎな気がする。
妻が積極的に手伝い始める一歩手前の時間が必要だったのでは?敢えて抜いてるのかも知らないが。そのせいで最後のシーンが私には御都合主義に感じられたのだと思う。子供がいてあそこまで行くかね?
行くから映画なんだけどね。
たけしがやるから救いがある。
現実にはもっと悲惨な話がいくらでもありそうだ。
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